事故や被害に遭わないために
長い間、日本は世界一安全な国と言われてきました。今も特別な許可がない限り銃を持つことは違法ですし、薬物の取り締まりなどにも厳しいとされています。しかし、それでも日々、さまざまな犯罪が起こります。トラブルに巻き込まれないために、知っておくべき知恵を身につけておけば、より安心な生活が送れます。
(1)道路事情
日本は、イギリスなど一部の国を除く多くの国と異なり、右側通行です。右側通行とは、道路の右側を人が歩き、車が左側を走ることです。そのため、国産車はもちろん、多くの輸入車も右ハンドルになっています。
外国で長く運転していた人が日本で運転する場合には、注意が必要です。国際免許があれば車を運転することは可能ですが、よく日本の交通ルールを勉強する必要があります。
車が多く走っている大きい道などでは周りの車を見ながら走れますが、車の少ない道で右折、左折などした際に、反対車線を走ってしまうことがありますので気をつけましょう。
また、日本では信号を必ず守らなければなりません。基本的には歩行者が絶対優先で、よほどの事情がない限り、事故は車を運転していた者の責任とされます。
右側通行のため、タクシーは左側に止まります。左後方の扉は自動で開きますので、乗車前に近づき過ぎないようにしましょう。助手席の扉は自分で開閉します。
自転車は、原則、車道の左側を走ります。ただし、自転車の歩道通行を許可する道路標識があるところでは、歩道を走ることができます。また、車道や交通の状況から見て、車道を走ることが危険な場合も、歩道を通行することができます。歩道では、歩行者が優先です。歩道上でスピードを出して走ったり、ベルを鳴らして歩行者をよけさせてはいけません。傘をさしたり、携帯電話を使用しながら運転することも禁止されています。二人乗りや、夜にライトを点けずに走る「無灯火」も規則違反です。2015年6月からは、自転車を運転中に信号無視などの危険なルール違反を繰り返すと、自転車運転講習の受講が義務付けられることになりました。自動車のように免許証があるわけではありませんが、自転車も交通事故を起こせば責任を問われます。ルールとマナーを守って、安全に利用しましょう。
(2)空き巣
留守の家をねらった泥棒がたびたび起きています。ゴミ捨てなど、短い時間でも家を離れるときにはきちんとカギをかけましょう。また、旅行などで何日も家を空けるときには、新聞を止めるなど、長いこと留守をしていることがわからないような工夫をしましょう。
新聞が溜まっていると、留守宅であることがわかってしまいます。
ゴミ出しや買い物など、短い時間でも忘れずにカギをかけましょう。
浴室やトイレの窓なども、カギの確認をするよう心がけてください。
ドアの上部には補助錠を取り付け、「1ドア2ロック」を心がけましょう。
格子のある窓だからといって安心はできません。
(3)自動車、オートバイ、自転車の盗難
自動車、オートバイ、自転車が盗まれないよう、以下の点に気をつけましょう。
わずかな時間でも自動車やオートバイ、自転車から離れるときは、ドアロックやカギかけを忘れずに。自転車には複数のカギをつけておきましょう。
オートバイや自転車の防犯登録をしておきましょう。
オートバイや自転車は、路上ではなく必ず駐輪場に止めてください。自動車の場合、車の外から見えるところにバッグなどを置かないようにしましょう。
自動車には、窓ガラスの破壊や衝撃、不正なドアの開閉に反応する警報ブザーを設置すると効果があります。
(4)ひったくり、スリ
通りがかりに、財布や貴重品、荷物などを奪います。繁華街などはもちろん、夏は花火大会やお祭り、冬は初詣など、人が多く集まる場所でスリにあうケースが多くなっています。また、このような場面ではお酒を飲む機会なども多く、注意力がたりなくなっていることが多いので気をつけましょう。
ひったくりについては、スリよりも凶悪で、自転車やバイクなどで後から近づいてカバンなどを取るケースも増えています。抵抗すると、バイクに引きずられて大怪我をしたりします。人通りの少ない道を1人で歩かない、カバンやハンドバッグなどは車道側の手で持たないなどの注意が必要です。また、スマートフォンや携帯電話はバッグに入れず、すぐに使えるようにして歩きましょう。
(5)ピッキング
特殊な方法で家のカギを開けて侵入する泥棒です。空き巣とは違い、家に人がいても侵入する可能性があります。犯人と顔を合わせた場合は、金品の盗難だけでなく身の危険もありますので注意が必要です。カギはひとつだけでなく2重ロックにするなどの工夫をしましょう。
(6)スキミング
クレジットカードやキャッシュカードの磁気データを読み取り、偽造カードを作成して悪用します。カードは持ち主の手元にあるため、自分が被害を受けたと気づくまでに時間がかかります。引き落としの明細が届くまで気づかないこともあり、被害額が高額になるケースが多くなっています。
主な手口は次のふたつです。
・ATMやクレジットカード取扱店の端末に読み取り装置を仕掛けてスキミングする。
・ジムやゴルフ場の暗証番号式ロッカーから一時的にカードを抜き取りスキミングする。
例えカードを偽造されても暗証番号がわからなければ悪用できないことが多いので、暗証番号の管理はしっかりとしましょう。
また、ネット上でも情報を読み取られる可能性があります。カード番号を入力する際などには、送信する情報を暗号化できるサイトであることを確かめましょう。
(7)薬物売買
日本では、比較的少ないとされてきましたが、最近は取り締まりの対象となる薬物も多様化し、国の認可を受けていない薬物が多く出回っています。お香、ハーブ、アロマなどと称して販売されている「危険ドラッグ」は、麻薬や覚醒剤と同じように危険な薬物です。危険ドラッグを使用した人が救急搬送されたり死亡するだけでなく、他人を巻き込む自動車事故などを起こすこともあります。「合法」や「安全」という言葉にだまされず、絶対に使用しないようにしましょう。
(8)振り込め詐欺
電話やメールなどの手段を用いて顔を見せずに相手にうそをつき、指定口座への振り込みをさせたり、宅急便や郵便で現金を送らせたりしてお金をだまし取る詐欺が大きな問題となっています。
振り込め詐欺には次のようなものがあります。
・家族、会社の上司、警察官、弁護士などを装って電話をかけ、家族が事件や犯罪に巻き込まれたとうそをつき、お金をだまし取ります。
・役所や税務署の職員を装い、払い過ぎた医療費や税金が返ってくるとうそをつき、税金の還付金に必要な手続きとして、被害者にATMを操作させ、お金をだまし取ります。
・架空の料金を請求する文書を送るなどして、お金をだまし取ります。
・「低金利でお金を貸す」という文書を送るなどして、保証金や手数料と称して、お金をだまし取ります。
「自分は大丈夫」「絶対にだまされない」。そんなふうに思っている人ほど、詐欺にあいやすいと言われています。不審な電話やメールがあったら、すぐに家族や警察、消費生活センターなどに相談しましょう。
(9)インターネットトラブル
私たちの生活から切り離せない存在となったインターネット。さまざまなトラブルも増えています。電子メールやホームページの閲覧などによってコンピュータがウイルスに感染し情報が流出する被害のほか、偽のホームページに誘導して個人情報を盗み取るフィッシング詐欺、リンクやボタンをクリックしただけで多額の料金を請求されるワンクリック詐欺などの被害も増えています。ウイルス対策ソフトを入れる、怪しいメールやホームページに注意する、パスワードを使い回さず定期的に変更するなどの対策をとりましょう。
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