国際協力機構(JICA)は、10月20日、ハノイにて、ベトナム交通運輸省との間で、技術協力プロジェクト「鉄道学校における都市鉄道研修能力強化プロジェクト【有償勘定技術支援】」に関する討議議事録(Record of Discussions: R/D)に署名しました。
本事業は、ベトナム都市鉄道事業者の人材育成・運営能力強化を図ることで、ハノイ市やホーチミン市を中心とした同国の都市鉄道のより安全・安心かつ効率的な運行へ寄与することを目的として、2022年1月から2026年1月まで実施する予定です。
具体的には、都市鉄道の研修カリキュラムの策定や指導員に対する研修の実施、都市鉄道分野の人材育成に関わる法制度やガイドラインの整備、そして安全に対する理解の醸成などの活動を行う予定です。
現在ベトナムでは都市鉄道は走っておらず、バイクや自動車が主な移動手段となっています。都市人口は2010年の約2,600万人から2020年の約3,600万人へと急増しており、それに伴うバイクや自動車の登録台数の大幅な増加は、交通渋滞の深刻化、交通事故の増大、大気汚染の悪化など、経済社会活動を阻害する要因となっています。JICAはこれら問題に対応するため、「ホーチミン市都市鉄道建設事業(ベンタイン-スオイティエン間(1号線))」や、「ハノイ市都市鉄道建設事業(ナムタンロン-チャンフンダオ間(2号線))」などにおいて、鉄道事業の支援をして参りました。さらに、ハノイ市、ホーチミン市では、他国の支援を受けつつ、他の路線の都市鉄道が順次開通していく予定です。
日本国内では都市鉄道運行事業者での人材教育は非常に重要視されています。各職員に対して安全運転研修や顧客サービス研修が実施されており、安全かつ信頼性の高い運行と、顧客サービスの向上を第一とする業務が行われています。このような日本の鉄道文化を活用しつつ、ベトナムの鉄道学校を充実化することで、将来都市鉄道を利用するベトナム市民が、安心して利用できることを目指しています。
今後、本事業を通じ交通ネットワークを確立するための能力を強化することで、円滑・安全な都市部の人流を促進し、ベトナムの持続的な経済発展に貢献するとともに、研修参加者を通じて日越間の人的交流を促進させることで、両国の友好関係の一層の深化にも貢献して参ります。
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